中村九郎

id:evatakaから転生しました。転がり、生きる。つまりロックンロールです。

樹海人魚 (ガガガ文庫)

樹海人魚 (ガガガ文庫)

またしても傑作をものにしてしまったね。アリフレロとやってることはあんまし変わってないけど、むせかえるようなロマンティシズムの落としどころの素敵さでこっちに軍配をあげよう。てかこっちのほうが神話めいてるよね。今回は鉱物的な視覚性に眩惑されながら読みました。特に序盤は赤い糸やらバービーが凍らせた廃墟での霙が出てくるところですでにノックアウト。前作もそうだけど、ライトノベルとして整いすぎなくらいで読んだ後はいいもん読んだなと思うしかないのだが、パラパラと短いシークエンスを確認してみると割れたガラス細工の破片がメチャクチャに広がっているような光景が広がっていてその眩惑感がラストにいたるまで持続しつつ文体にリアリティを与えているのが分かる。中村九郎が読めない読めないとやかましい輩はここまで書かれて分からないようならもう読まなくていいんだぜ?