ぼくと魔女式アポカリプス3

ぼくと魔女式アポカリプス〈3〉 (電撃文庫)

ぼくと魔女式アポカリプス〈3〉 (電撃文庫)

プロローグを経て、「この黙示録に始まりはない」という奇妙なつぶやきとともに開始される第3巻。2巻のラストシーンからそのまま続いているので上下巻として読んでも可。個人的に評価しまくりの魔女カリだが残念ながらこれでウチキリのようです。なんかウチキリて読者にとってはミュージシャンの自殺に似てるよね。黙示録の真っ只中でビルドゥングスロマンは可能かと問うていた作品がウチキリとはな。えーと、決断に至るまでの世界に対する衝動、コレを語るときに俺がしつこく少年性少年性と言っていたのはその衝動を自覚させてくれてたからでなおかつラノベとしても徹底されていて近代小説のほとんど臨界点といっても過言ではないと思っているくらいで、生きた貨幣のように存在する代替魔術師のビルドゥングスロマンでひたすら繰り返される破壊と殺戮のオンパレードってことでバタイユクロソウスキー跳訳として読んでもいいかもしれないし。今回もやりたい放題やってて大変おいしゅうございました。あらすじなどは他の感想見てくれ。ひとつ気になるのはルールブレイカーのような位置に美人双子姉妹(京アニフルメタのアレっぽい)が出てくるのだがこいつらは分離手術を受けた、つまり結合双生児で中国闇社会出身ということで家族というか自分のコミュニティに絶対神聖不可侵の価値を置いていてその関係で今回大暴れするわけだがベトナム戦争の象徴として記憶に刻まれた結合双生児を世界から切り離された聖域=共同体のグロテスクな体現者として登場させてああいう内面を持たせた(全く掘り下げられないんだけど)ことに対してただの作者の偽悪や流行のマーケティングで留めるべきなのかと悩んでます。いずれにせよ自分の内面に拘泥せずに世界に他者を探しに行くためにはここまで「死」に接近しなけりゃならんのかと、まさに狂った現代をファックする(しようとしていた?)異形の近代小説でありんした。願わくば、この黙示録の終わりに祝福があらんことを。